更新日:2020年9月7日

ベトナム企業が選ばれる理由 - 10選

ベトナム企業が選ばれる理由10選

目次

1.コスト削減

2016年でしたが、まだタイで開発をしている時にベトナムのハノイにあるOminextという会社を知り、WEBとアプリ開発を発注しました。5人のラボを作ってもらいましたが、1人あたり$400だったのを鮮明に覚えています。


2016年はまだ円高で、1$=110円ぐらいでしたので、$400は44,000円になります。5人雇っても日本人1人雇うより安いと思い、躊躇なく発注しました。


それから10年ぐらい経ち、今ではシニアクラスだと30万ぐらいになっていますが、日本だと100万以上はかかるので、コストは1/3ぐらい。ただし、エンジニアと日本語で直接コミュニケーションは取れないので、BrSEの費用もかかります。BrSEはタスク管理などもやってくれるので、開発では困ることはないでしょう。

2.優秀なIT人材の豊富さ

ベトナム政府は2000年代初頭から「国家情報通信技術発展戦略」を展開し、IT産業を経済成長の柱と位置づけ。2020年までにITエンジニアの育成を強化する計画を策定し、年間約5万人のIT関連専攻の卒業生を輩出してきました。2023年時点でも約43万人のITエンジニアが活躍しています。


優秀なエンジニアは、ハノイ工科大学、ホーチミン市工科大学、ダナン工科大学の卒業生が多い印象です。ベトナムの人口は約1億人ですが、約60%が35歳以下で、ITエンジニアの平均年齢は25〜30歳で学習意欲が高いです。

3.日本語対応力

過去に日本企業で5-10年働いていて、日本語検定N1を取得しているエンジニアやCEOは多いです。日本人との会議においては、必ずN1を取得しているBrSEが参加してくれます。日本のほうれん草などの独特な文化を理解してくれているBrSEの存在は大きいでしょう。


また、外国語大学などで日本語をマスターした人材もいて、Comtorと呼ばれています。これはCommunicatorまたは、Communication Translatorの略で、ベトナムのITオフショア開発業界で一般的に使われている職種名です。ComtorはベトナムのPMや、日本の顧客との間で技術的な内容や要件を正確に伝える「ブリッジ役」として存在していますが、大学でITを学んでいない、日本の文化がわからないことが多いので注意が必要です。BrSEよりはコストを10万程度抑えられることもあり、要件がしっかり固まっているプロジェクトでは採用することもあります。

4.時差の少なさ

日本はUTC+9、ベトナムはUTC+7で日本の2時間遅れです。日本の12時はベトナムの10時になります。ベトナムの会社の始業、終業時間は8:30から17:00のところが多いです。日本の始業時間は10時が多いので丁度いい時間差なのかなと思います。日本からベトナムへの出張に関しても、直行便であれば5-6時間なので、ASEANの他の国と比べてもアクセスしやすいです。

5.勤勉な国民性

ITではありませんが、ベトナム人は手先が器用だなと思うことが多いです。例えば、バイクが故障したりしても街中のあちらこちらにある修理屋に持ち込むと、コーヒーを飲んでいる間に修理してくれます。


ベトナム人の仕事に対する取り組み方は一直線で食いつくように仕事をしてくれます。プロジェクトマネジメントしていても、指示を的確に行えば、数十個のタスクを1日で完了してくれるエンジニアもいます。


その一方で、文化的な側面があるので注意が必要です。例えば、年上の人を尊重する文化なので、年上の人の意見に対して反論することが良くないと思われていたり、シャイな部分もあり、自分の意見を前面に押し出すことは少ないです。この辺りは、日本人の察する文化と組み合わせてベトナム人の気持ちを理解するようにすれば問題ないとは思います。ただ、伝わらないと動いてくれない、なぜか説明してくれない、説明が下手なこともあり、プロジェクトが進まなくて悩んだことがあります。日本人としては、ベトナム人が心を開いて、なんでも言いやすい環境を作るように努力すべきだと思っています。

6.親日的な文化

僕がベトナムに10年もいる理由はコレが大きいのですが、ベトナム人はみんなフレンドリーで優しいです。日本はベトナム戦争にも参戦しませんでしたし、その後、1970年代からベトナムの復興のためにODAを開始、インフラの整備やJICAによる水質の改善などの貢献したようです。世界遺産に指定されているホイアンにある日本橋は1590年代に日本の商人コミュニティーにより建設されて、今も観光名所になっています。

7.最新技術への取り組み

ベトナムのIT企業は急速なデジタル経済の成長と政府のデジタルトランスフォーメーションの後押しを背景に、最新技術への積極的な取り組みを進めています。以下がその取り組みです


  • AI(人工知能):FPT SoftwareはAI研究施設を設立し、NVIDIAやLanding AIと提携。自動車、製造、医療、教育向けにコンピュータービジョンや生成AIを展開。例: FPTはAIカリキュラムをUD-DUTなどと連携し、初等教育から導入。
  • クラウドコンピューティング:Saigon TechnologyやHCLTech Vietnamは、AWSやAzureを活用したクラウド移行サービスを提供。製造業や金融業でのデータ管理効率化を支援。
  • 5Gと通信インフラ:Viettel、VNPT、Mobifoneが5Gインフラに投資(総額12億USD)。2025年までに全国ブロードバンド、2030年までに5G全国展開を目指す。
  • ブロックチェーンとフィンテック:VNGやVNLIFEは、デジタル決済やeKYC(電子本人確認)を展開。フィンテック市場は2024年に180億USDに達する見込み。
  • IoTとスマートシティ:EVN(ベトナム電力公社)はスマートメーターやIoTを活用した電力管理を推進。48都市でスマートシティ開発が進む。

8.高品質な開発

設計からDXプロジェクトなど高度な開発も可能。僕が係ったプロジェクトには、仮想通貨取引所の開発や、UnityとPhoton Fusion2を使ったメタバース案件などがありました。品質という点でいうと、PM、チームリーダー、テスターなどがどれだけ工数を割くか、非機能要件など表に見えない部分に顧客がどれだけ理解力があるかだと思っています。

9.柔軟な対応力

あるチーム内で問題があった場合、別のチームから人を入れたり、置き換えたりなどが柔軟に行えます。顧客からの多様な要求や、仕様の変更、スケジュールの調整、技術的課題への迅速な対応など、日本の企業と比べて意思決定が早く、朝令暮改が当然のように行われています。

10.政治的・経済的安定

僕はアジアではタイの他に、パキスタン、インド、ウズベキスタン、ウクライナ、フィリピン、香港のエンジニアなどと仕事をしたことがありますが、やはり政権が変わると少なからずプロジェクトに影響が出るリスクがあります。ベトナムは社会主義国家ですが、ドイモイ政策を取り入れてから、外資を積極的に取り入れた結果、経済は安定してきました。政府が積極的にインフラ整備も行なっていて、wifiの環境は日本より格段に良く、どこのカフェでもフリーwifiに接続でき、通信速度も100Mbpsはあたりまえです。