ベトナム開発初心者ガイド

ベトナムでのオフショア開発はコスト削減優秀なIT人材の確保を実現できる最適な選択肢です。本ガイドでは、初心者でも失敗せずにプロジェクトを成功させるための手順をまとめました。

1. ベトナムオフショア開発とは?

1.1 オフショア開発の基本概念

人件費が低い海外企業に開発を委託する手法です。ベトナムは日本の約 1/2〜2/3 のコストで、時差も 2 時間と小さいためリアルタイムなコミュニケーションが可能です。

1.2 ベトナムが選ばれる理由

  • 年間約 5.7 万人の IT 専攻卒業生を輩出
  • Java・Python・JavaScript など主要技術に精通
  • 日本語対応エンジニアが多数在籍
  • 勤勉で向上心の高い国民性

2. 開発前の準備ステップ

2.1 ステップ1:目的と要件の明確化

プロダクトの目的
責任範囲
意思決定者
予算設定

2.2 ステップ2:開発モデルの選択

項目ラボ型開発請負型開発
契約方式人月契約(月額固定)成果物契約(一括)
柔軟性高い(仕様変更可)低い(追加費用)
適用場面継続開発・アジャイル要件確定・WF
マネジメントクライアント主導ベンダー責任

2.3 ステップ3:詳細仕様書の作成

文化や言語の違いによる誤解を防ぐため、画面構成・UI モックアップ・API 仕様・受け入れ基準を詳細に記載しましょう。

3. パートナー企業の選定方法

3.1 運営会社タイプ

1現地法人運営:コスト◎/日本語△
2日系企業運営:コミュニケーション◎/コスト△
3外資系企業運営:バランス型

3.2 チェックポイント

技術力・実績

類似案件、資格

コミュニケーション

日本語・英語、ブリッジSE

品質管理

ISO、テスト体制

4. 契約形態とコスト構造

職能レベル人月単価(円)経験年数
ジュニア250,000〜400,0001〜3 年
ミドル400,000〜600,0003〜5 年
シニア600,000〜800,0005 年以上
ブリッジ SE500,000〜900,000専門職

追加コストとして管理・PM費(15〜20%)、ツールライセンス、インフラ費、渡航費などを見込んでください。

5. プロジェクト管理ベストプラクティス

5.1 コミュニケーション体制

朝会:日次進捗確認
週次レビュー:成果物確認
月次報告:進捗・予算

5.2 アジャイル開発

2 週間スプリントでユーザーストーリー管理。レトロスペクティブで継続改善を図ります。

6. よくある失敗と対策

設計書と異なる成果物

問題:要件の理解不足による成果物の齟齬

対策:詳細仕様+定期レビュー

納期遅延

問題:スケジュール管理の甘さ

対策:明確な納期+祝日共有

予期せぬ不具合

問題:テスト環境の差異

対策:環境統一+テスト計画

7. 法務・契約の注意点

  • NDA と著作権譲渡条項を明記
  • 再委託禁止条項、ソースコードエスクロー
  • ベトナムでは 100%外資出資が可能。ハイテクパーク入居で税制優遇も

8. 成功へのロードマップ

1

準備期間(1〜2ヶ月)

体制整備・RFP 作成

2

選定期間(1ヶ月)

複数社比較・契約

3

開発準備(2週間)

詳細要件・環境構築

4

開発実行

定期確認・品質ゲート

9. スモールスタートのすすめ

MVP や PoC など小さなプロジェクトから始め、段階的にチームと開発規模を拡大しましょう。

10. まとめ

成功の鍵は準備・パートナー選定・管理体制・文化理解・継続的改善の 5 つです。小規模プロジェクトでベトナム開発のメリットを体感し、段階的に拡大していきましょう。