更新日:2025年7月21日

ラボ型開発のメリット・デメリット

ラボ型開発のイメージ画像

ラボ型開発のメリット

1. 仕様変更に柔軟に対応できる

ラボ型開発は、プロジェクト期間中に仕様や要件を柔軟に変更できる特徴があります。固定された要件書に基づく請負開発とは異なり、開発の途中でユーザーや市場の反応を踏まえて機能追加や修正がしやすく、アジャイル開発手法とも相性が良いです。

これにより、ビジネス環境の変化や新たなニーズにも迅速に対応可能で、別途見積や契約変更の手間も省けます。ただし、契約時間を超過する場合は追加費用が発生するケースがあるため注意が必要です。

2. 同じチームで継続的に開発できる

ラボ型開発では、専属チームを一定期間確保しながら開発を続けます。そのため、同じメンバーが継続的に担当することで、チーム内の連携やコミュニケーションが円滑になり、開発効率や品質の向上につながります。メンバーが変わってもナレッジの継承が行われやすく、プロジェクトの安定運営が期待できます。

3. MVPを短期間でリリースできる

ラボ型開発の柔軟かつスピーディな体制により、必要な機能だけを絞った最小限の製品(MVP: Minimum Viable Product)を短期間でリリース可能です。これにより実際のユーザーからのフィードバックを素早く得て、改善や機能追加の方向性を定めやすくなります。市場投入までのスピードアップが見込めるため、新規事業やスタートアップにも適しています。

4. 同じエンジニアを安定して確保できる、エンジニアの入れ替えも可能

ラボ型開発では、プロジェクト期間中、チームメンバーを安定的に確保でき、必要に応じてスキルセットに応じたエンジニアの追加や入れ替えが柔軟に行えます。これにより、開発途中で求められる専門性や役割に応じて人員調整が可能となり、効率的な開発体制を維持できます。

5. ノウハウが社内に蓄積される

専属チームが長期間関わることで、開発プロセスやシステムの仕様、業務知識などのノウハウがチーム内に蓄積されます。この蓄積により、開発の質と速度が向上し、バグの削減や作業効率化につながります。また、知見が共有されることでメンバー間の理解が深まり、コミュニケーションも円滑になります。クライアント企業はインフラやデータベース情報なども質問しやすく、他のベンダーへの作業割り振りも容易になります。

ラボ型開発のデメリット

1. 短期・単発の案件に向かない

ラボ型開発は専属チームを一定期間確保して中長期的に開発を行うモデルのため、1〜2ヶ月程度の短期集中や単発案件には向いていません。チーム立ち上げや運用に一定のコストや時間がかかるため、短期案件では費用対効果が低くなりやすいです。要件が固まっている短期開発には請負型のほうが効率的です。

2. タスクの作成、管理はクライアントの責任

ラボ型開発では開発チームはクライアントの指示で動くため、機能優先順位や不具合対応、スケジュール管理などのタスク管理責任はクライアント側にあります。これにより、クライアントのプロジェクトマネジメント負担が増え、管理体制が不十分だと進行課題が生じるリスクがあります。

3. 成果物の品質に対する責任範囲があいまいになりやすい

ラボ型開発は工数契約が基本で、請負型のような成果物の品質保証や検収ルールが明確でないケースが多いです。そのため品質や責任範囲の認識がズレやすく、トラブルに発展することもあります。

【例】機能追加を繰り返す中で不具合が発生し、クライアントは過去の実装ミスとみなして無償対応を要求。しかし修正は「新規タスク」となるため双方の認識が不一致になり信頼関係が損なわれるケース。

こうした問題を防ぐため、タスクはbacklogなどで登録し工数と内容を明確化、定期的に振り返りを実施しクライアントに進捗や課題を共有することが重要です。